チェックポイント④ ベルト
エンジンで発生した動力を、コンバインの各種機能部分へ伝達を担う重要な部品がベルトです。本編ではコンバインで最も重要だけど見落としがちなベルトの点検と、それに伴う簡単な判断基準について解説します。
点検の初期手順でカバー関係を全開にしているので、ベルトのある部分を確認できると思います。基本的には大半の機種が写真のように、数本のベルトがトリッキーな取り回しで複雑にサイド面に掛かっています。
これから本題です。ベルトの目視による点検方法は、矢印の部分であるベルトのお腹側をチェックするのが基本です(ベルトの断面が台形をしており、お腹側とは内側の細くなっている方を指します)。ここに細かいクラックや大きなヒビ割れ、剥離・千切れなどが発生していないかを確認します。
あいにく撮影に使用したこの機械は意外と綺麗で、損傷が撮影出来ない…コイツは困った、どうしよう…
という訳で、先日ベルト交換をした際に取り外した、損傷が著しいベルトをゴミ箱から引っ張り出してきました。赤丸の部分をとくとご覧あれ。見事なまでに部分的に剥離が発生し、千切れて欠損しています。
ちなみに細かいひび割れ等の初期段階での損傷に全く気付かず、しつこく使い続けると、大半のベルトがこうなります。これはベルトが破断する一歩手前ですね。
別の角度からもう一枚。なんということでしょう、剥離した部分とは別の矢印部分にも大きなひび割れが発生しているではありませんか。ここまで来たら確実にベルトの対応限界を通り越しています。
このような損傷が著しい状態で使用していると、作業中にベルトが切れる確率が非常に高く、切れてしまうとその部分への動力が一切伝わらず、機能が停止してしまいます。しかもベルトにはかなりの回転エネルギーが加わっています。破断した途端に内部で予想を上回るほど暴れ、周辺のベルトに絡み付いて別のベルトまで切れてしまうトラブルや、他の作動部分を巻き込んで絡み付きその部分までも破壊してしまうといった、予想外の2次災害を引き起こしかねません。稲刈りの最中にこの様な事態が発生すると、最悪作業の中断を余儀なくされません。そうなる前に簡単でもいいのでベルトの点検を行い、もし何らかの損傷を発見した場合には、早急にベルトを交換しましょう。