今回は2サイクルエンジンのメリット・デメリットについて解説していきます。
2サイクルエンジンのメリットは、何と言っても出力!
車のレースでは最高峰が「F1」であるということは世間に広く周知されていますが、2輪のレース界では「GP500」という最高峰のカテゴリーが過去に存在しました。
このカテゴリーでは2000年まで排気量が500ccの2サイクルエンジンを搭載したオートバイで競っていました(2000年以降は1000ccの4サイクルエンジンを搭載したMotoGPというカテゴリーに変更)。気になる出力は、カテゴリーの廃止が近づいた90年後半では500ccで180馬力以上(一説によると200馬力以上)という驚くべきパワーを出力していました。
現在の軽自動車の排気量が660ccで50馬力程度ですから、レース専用に開発されているとはいえ、ターボのような馬力を上げる過給機を装備することなく、同じような大きさのエンジンで4倍ほどのパワーを出力していたことになり、とんでもないことだと理解していただけると思います。
ちなみにGP500の1つ下のカテゴリーである「GP250」では、2サイクルエンジンでたったの250ccという小さなエンジンにも関わらず、約100馬力という出力で、これは1600ccの普通車並みの馬力に匹敵します。
このように2サイクルエンジンはパワーの面において、とても優れているということが分かります。
もう1つの特筆すべき点として、4サイクルエンジンと比較して、構造が簡単で部品点数も少なく、コンパクトで軽量であるという点が挙げられます。
【引用】http://4-mini.net/custom/port-manufacture
http://4-mini.net/custom/2st-engine
4サイクルエンジンのようにカムシャフトやバルブが存在しないので、その分コンパクトで軽量な作りが実現可能ということ、別に設けた小さなオイルタンクからエンジンオイルを供給して燃料と一緒に混ぜて噴射することで、エンジン内部の各所を混合気と一緒に潤滑している構造で、エンジン下部にオイルを溜めて循環しているオイルパンも存在せず、搭載するエンジンオイルの量も少量で済み、非常に単純な構造であることが、軽量コンパクトを実現しています。
簡単な構造であるがゆえに、メンテナンスが比較的容易という点もメリットの1つです。
あえてもう1つ挙げるとしたら、2サイクルエンジンは過酷な使用状況における破損の要素や懸念が少ないという点もあります。
これはカムシャフトやバルブという動弁系の複雑な機構が備わっていないため、オーバーレブ時の動弁系のトラブルという懸念がありません。
【引用】http://minkara.carview.co.jp/userid/1503316/car/1105723/2484011/note.aspx
簡単に言えば、単純な構造であるため、過酷に使用してもメカニカルトラブル(機械的な故障)の発生率は少ないということです。
2サイクルエンジンのメリットについてはここまで。
次回は少し脱線して、バイクレースのお話をしたいと思います。