括9 社会生活や経済活動に大きな影響をもたらした新型コロナウイルス感染症は、発見から3年が経過し一定の落ち着きを迎え、国内でもアフターコロナに向けた動きが始まっています。しかしながら、昨年勃発したロシアのウクライナ侵攻などを起因とするエネルギー、食料などの資源高、またインフレと円安傾向といった新たな要因による不安定な情勢が続いており、国内経済の回復を見通すことは非常に困難な状況となっています。 こうした厳しい状況の中、自己改革の取り組みにおいては、第7次中期計画に基づき継続して実践し、農業者の所得増大に向けて、園地での対面技術指導の充実による品質向上、農産物の高価格販売、加工品の付加価値製品販売、生産資材の価格抑制に取り組みました。また、農業生産の拡大に向けて、新規就農者確保に向けた取り組みと営農定着フォロー活動の実践、行政と連携した農地基盤整備の推進、農作業支援者の確保に向けた関係機関との連携強化を進めました。更には、肥料価格高騰対策として組合独自の助成措置を設け、生産コストの低減に向けて取り組みました。 地域農業と食とのつながり強化への取り組みにおいては、コロナ禍による行動制限が段階的に緩和されるなか、食農教育活動の実施やメディアに向けた情報公開を強化し、地域農業、管内農産物及び組合事業の情報発信に取り組みました。 持続可能な経営基盤の確立への取り組みにおいては、第2次営農経済事業成長・効率化プログラムを策定し、「営農経済事業の収支均衡」に向けて継続的に進めました。 組合の経営については、長引くコロナ禍のほか、資源価格高騰と急激な円安進行といった社会情勢が大きく変化した事業環境のなか、事業総利益で計画を下回る事業もありましたが、直販・加工事業のコロナ禍からの回復や信用事業の増益、事業管理費の節減などにより、18期連続で事業利益を確保することができました。【金融事業部門】●金融部 信用事業においては、これまでの新型コロナウイルス感染症の感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻に加え、欧米のインフレ加速による景気悪化懸念など想定外の市場展開の中で事業環境は一層厳しさを増している状況であったが、農業・地域金融機関としての機能発揮に向け、下記の取り組みを実践しました。 調達部門では、運用資金の増強を図るため年金振込口座増加を目指して獲得運動を全店舗で展開し、年金会員は195名の増加を図りました。またJA総合事業を活かした果実定期貯金を販売し、管内農産物のPRを行うと共に貯金獲得に取り組み、総貯金残高は2,973億5,323万円(購買貯金69万円を除く)、期首比では1億6,675万円増加となりましたが、計画対比では99.5%となりました。 また、運用部門では自己運用強化に引き続き取り組み、本店営業部ローンセンターや母店融資課長を中心に、農業・くらしの資金ニーズに対する提案活動を行い、農業資金・住宅ローン・マイカーローンなどの融資実行につなげ、貸出金残高1,068億2,203万円(購買貸越5,630万円を除く)、期首比16億7,793万円増加、計画対比101.5%となりました。 農業金融機関として、農家所得の向上・農業生産基盤の維持に向けて農業関連の融資要領の整備と農業融資99件2億1,805万円を実行しました。 有価証券等運用においては、インフレ鎮静化を果たすため各国中央銀行が利上げを行ったことにより、円相場と市場は値動きの激しい展開となりました。そのような厳しい環境下ではありましたが収益計画対比115.1%、残高計画対比104.1%共に達成となりました。 資産相談業務では、組合員・利用者の経済的安定に資するため、税理士と職員による相続・不動産・税務等の相談会を開催しました。更に、経営指導員と連携して経営移譲等の相談会を開催し、相続相談41件・相続対策相談44件・不動産活用相談39件・事業承継8件・その他記帳等の相談対応を行いました。なお、確定申告支援については、派遣税理士指導のもと所得税申告1,383件、消費税申告148件の申告業務を行いました。 また、宅地等供給事業については、総合的な相談業務の実践によって宅地分譲を松山市正円寺に続き北条辻(全⑴総⑵各事業の概況8.事業の概況(令和4年度)
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