括9 長期にわたって大きな影響をもたらしたコロナ禍は、感染症法上の位置付けが5類へ移行となり、国内の社会生活や経済活動は平時に戻りつつあります。しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東での新たな紛争勃発により、エネルギーや食料などの資源高、またインフレと円安傾向といった不安定な国際情勢が続いており、国内経済の回復の見通しは非常に不透明な状況となっています。 こうした厳しい状況の中、自己改革の取り組みにおいては、第7次中期計画に基づき継続して実践し、農業者の所得増大に向けて、園地での対面技術指導による品質向上、農産物の高価格販売、生産資材の価格抑制に取り組みました。また、農業生産の拡大に向けて、新規就農者確保に向けた取り組みと営農定着フォロー活動の実践、農作業支援者の確保に向けた関係機関との連携強化、行政と連携した農地基盤整備を進めました。更には、肥料・農薬価格上昇対策として組合独自の助成措置を設け、生産コストの低減に向けて継続的に取り組むと共に、梅雨末期の豪雨災害や夏季以降の高温干ばつ被害への対策として、組合役職員による園地復旧人的支援や樹勢回復に向けた液肥助成などを実施しました。 地域農業と食とのつながり強化への取り組みにおいては、コロナ禍により開催自粛としていた「1支所1ふれあい活動」の再開、食農教育活動やメディアに向けた情報公開を拡充するなど、地域農業、管内農産物及び組合事業の情報発信に取り組みました。 持続可能な経営基盤の確立への取り組みにおいては、「営農経済事業の収支均衡」に向けた営農経済事業成長・効率化プログラムの実践、組合全体での業務改善・効率化などを継続的に進めました。 組合の経営については、コロナ禍は落ち着いたものの、資源価格の高止まりと長引く円安傾向など社会情勢が変化し続ける事業環境のなか、事業総利益で計画を下回る事業もありましたが、信用・直販事業の増益や事業管理費の節減などにより、19期連続で事業利益を確保することができました。【金融事業部門】●金融部 農業・地域金融機関としての機能を発揮し、JA利用者・理解者の増加及び農業所得向上と産地基盤維持につなげるべく下記の取り組みを実践しました。 調達部門では、運用資金増強のため当座性においては年金振込口座獲得、定期性においては果実定期獲得に全店舗をあげて注力しました。いずれの取り組みにおいても成約特典として農産物を差し上げることにより残高伸長と管内農産物紹介によるJA理解者・利用者増加の両立に努め、総貯金残高は2,951億6,700万円(期首比99.2%、計画比97.8% ただし購買貯金11万円をのぞく)、年金友の会会員は21,719名(252名純増)の実績となりました。 運用部門では、ローンセンターが恒常的な業者営業による住宅ローンの安定的な獲得で組合貸出残高維持と農業関連融資の対応強化を、支所がマイカーローンをはじめとした無担保小口ローンの獲得により利回りの向上に努め、貸出残高1,097億6,850万円(期首比102.7%、計画比102.0% ただし購買貸越4,642万円を除く)となりました。 有価証券運用においては、日銀の金融緩和政策が徐々に解除に向けて進むなか、金利上昇・株高・円安と市場は値動きの激しい展開となりました。そのような中で中長期的な収益確保を目指し残高の積み増しを積極的に行い、収益は計画比145.1%、残高は計画比144.2%となりました。 資産相談業務では、組合員・利用者の経済的安定に資するため、税理士と職員による相続・不動産・税務等の相談会を開催しました。更に、経営指導員と連携して経営移譲等の相談会を開催し、相続相談38件、相続対策相談40件、不動産活用相談33件・事業承継11件・その他記帳等の相談対応を行いました。なお、確定申告支援については、記帳代行252名の対応を行うと共に、派遣税理士の指導のもと所得税申告1,376件、消費税申告174件の申告業務を行いました。 また、宅地供給事業については、宅地分譲北条辻2区画の販売(全6区画完売)を行い、総合的な相談業務の⑴総⑵各事業の概況8.事業の概況(令和5年度)
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