JAえひめ中央レポート2024 ディスクロージャー誌
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 施設愛媛果試第28号(紅まどんな)の人気はいまだに上昇傾向にあり、今年産は小玉果の多い年でしたが、品質は良く順調な販売が続きました。また契約的販売(事前販売)やJA内部の部門間連携、市場外流通の強化(単価の底上げ)を行い、生産コスト上昇分の販売価格反映につながりました。 宮内伊予柑は年明けの温州みかんの数量が少なく、例年になく比較的スムーズな荷動きとなりました。気象災害のため小玉傾向となり、M果発生比率が高くなりましたが、品質や食味評価が高かったことと事前に商談を行うことで2月後半のレギュラー品からM果・弥生紅へとスムーズに売場が切り替わり、最終まで安定した販売で終了しました。末端の店舗では例年1玉98円で売るところが今年は138円が定番の単価となりました。 その他柑橘も含め全体的に今年産は気象災害の影響により、小玉傾向となり、生産量は大幅な減少となりましたが、品質や食味についての評価は高く、前年を上回る価格で推移しました。しかし、小玉傾向のため平均単価は伸び悩む傾向となりました。 キウイフルーツは年内から最終選果まで軟腐病の発生が多く、販売は苦戦することになりました。また市場到着後に軟果や腐敗果の発生が多く、市場からは棚持ちの良い果実の出荷要請があり次年度への課題を残す年になりました。 令和5年度の果実販売は、契約的販売を継続していたことや生産者による高品質生産が功を奏した販売となりました。このことを踏まえ、管内産は品質で価格形成できる産地であり、今後もブランド産地として生産量の確保は基より「消費者に届くまでの品質」を重視した生産、荷造り、販売に取り組み、農家所得の確保を最優先として有利販売に努めます。〔園芸販売課〕 <野菜> 新型コロナウイルス感染症も5類に引下げられ、観光需要や自粛していたイベント等も再開し、業務需要も少しずつ回復してきました。その中で令和5年度の販売が開始されましたが、春商材の蚕豆は収穫前の雨風の影響で樹勢が弱り品薄高となり、5月以降の夏秋野菜の出荷が控える中、例年より早い梅雨入りや天候不順で玉葱の収穫や果菜類の出荷量にも影響があり、野菜全般に品薄な状況となりました。梅雨明け後、7月以降は天候不順から一転して好天に恵まれ遅れていた果菜類の出荷量も回復してきましたが、猛暑続きで樹勢が弱りお盆に向けて引き合いは強まるも、再び出荷量が減少する品目も多く野菜全般に品薄高となりました。秋口も高温・乾燥が続き夏秋野菜の減少と抑制野菜の生育遅れで野菜全般の品薄は解消されず相場はさらに続伸しました。 11月には遅れていた抑制野菜も増加し高値疲れで相場も下げに転じましたが、年末の雹被害で出荷量が減少する品目もあり相場は上昇傾向となりました。年明け以降は、好天に恵まれ暖冬傾向で前進出荷となり消費者の買い控えも重なり軟調な販売が続きましたが、3月には荷動きも活発となり相場も回復してきました。今年度は一年を通し異常気象の影響で生産量の浮沈みが激しい年となりました。 不安定な世界情勢の影響によりコストは上昇し物価高も続いています。販売対策として価格への転嫁を要請するため、自粛していた部会組織との市場訪問や販売促進活動を積極的に行い商談を進めました。令和2年度から加工業者との契約的販売を実施しているサトイモ(伊予美人)は今年度から親芋の取扱いも本格的に開始し着実に出荷量も伸びています。また、苺の平詰め規格の少量化も進め価格向上に努めました。今後も引き続き積極的な市場や取引先に訪問し契約的販売の拡大や販売促進活動を含めて事前商談を進めます。そのためにも、安定供給や品質を重視した荷造りや出荷形態の見直しに取り組み、農家所得の確保を最優先に有利販売に努めます。 <花卉花木> 新型コロナウイルス感染症も5類に引下げられたことで、コロナ禍以前の状態に戻り販売環境は良く堅調な販売が続きました。また、コロナ禍の生活様式も確立され、家族葬の増加や家庭需要の定着で短いサイズの注文も順調に増加し、まつやま農林水産ブランド「グニーユーカリ」を中心に取扱数量・金額とも着実に伸びています。また、季節商材については予約相対販売の強化に努め、コスト高による価格形成の見直しを行い、コロナ禍で自粛していた市場訪問や販売促進活動も積極的に取り組み有利販売につなげました。また、選果選別の徹底が図れており、品質の維持に努め産地として市場評価も高く知名度も向上しています。花卉花木は市場への情報発信が重要であり、引き続き出荷計画や1週間前情報を確立し、2日前販売を軸に高価格販売に努め消費者ニーズに合わせた品種や規格を模索し販売を進めます。〔選果業務課〕 令和5年産の選果場取扱品目は、梅雨明けから秋期までの長期間、過去に例がないレベルの高温・干ばつに見舞われたことで小玉果の比率が高くなり、被害の大きい園地では樹体の枯死が発生するなど、取扱い数量にも大きな影響が発生しました。また、キウイ(ヘイワード)は軟果・腐敗果の発生が平年に比べて多く、2月末時点13

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